自由に考え、書くのは難しい。実際、とりとめのない考えをまとめようとしている今も苦しんでいる。「わざわざブログなど書く必要もないのでは」とも考えてもしまう。だが、せっかく出逢った面白い出版物や音楽がきっかけで生まれた考えが、忘却の彼方へ消えてしまうのは勿体ない。本や雑誌、CDは場所も取る。そこでブログを書くことで、考えや所有品を少しばかり整理できればと考えた。
それに、せっかく共有する価値のある本や音楽に出逢えたのに、それを独り占めするのもなんとなく気分が悪い。自分の考えはともかく、それらの情報だけでも紹介できればと考えている。
ところがいざ書き始めてみると、簡単にはいかない。お茶の水大学名誉教授の外山滋比古氏は『思考の整理学』(ちくま文庫)の中で、「考えをまとめようとして、なかなか思うように行かなくて、いらいらすることがある。よく調べて、材料はたっぷりあるのだが、むしろ、たっぷりありすぎるから、どうまとめたらよいか、途方にくれる、というのかもしれない」と述べているが、まさに今の状態がそれに当たる。
氏は結論として「とにかく書いてみる」ことを勧めているが、どうもそれしかないようだ。そうでもしない限り、いよいよ氏が指摘しているように「(まとめる)面倒さにてこずったことのある人は、だんだん、整理したり、文章にまとめたりすることを敬遠するようになる。そして、ただ、せっせと本を読む。読めば知識はふえる…〔中略〕…たいへんな勉強家でありながら、ほとんどまとまった仕事を残さないという人ができる」ということになりかねない。
残念ながら「たいへんな勉強家」にはなれそうもないが、興味深い情報はなるべく多くの人と共有したい。仏思想家のデカルトも『方法序説』(岩波文庫)のなかで、次のように述べている。
「自分の発見したことがどんなにささやかでも、すべてを忠実に公衆に伝え、すぐれた精神の持ち主がさらに先に進むように促すことだ。その際、各自がその性向と能力に従い、必要な実験に協力し、知り得たすべてを公衆に伝えるのである。先の者が到達した地点から後の者が始め、こうして多くの人の生涯と業績を合わせて、われわれ全体で、各人が別々になしうるよりもはるかに遠くまで進むことができるようにするのである」
デカルトを引き合いに出すとは、大きく出過ぎてしまった。早くも後悔し始めているが、それでもここで紹介するものが少しでも役に立てば幸いである。
コメント